主宰(トライブスマン 渡来部須磨男)



部族民通信 HP工事 の知らせ

2012年にあたりHPを大幅に刷新します。
これまでの習作を逐次抜本校正し、再発表する計画です。

それまでのつなぎに蕃神氏投稿の詩を一編掲載します。
時々詩を変えるので再訪問してください

(2012年1月9日)


古い街

幾十年も前にお前を去った

別れてもなお、お前は夢に出てきた

小さな道、道角のベンチ、公園と教会、

プラタナスの下、緑の木陰。行き交う人々、飛び立つ鳩の群、

夢のなかでお前を歩く、走る、息をため空を見上げる

お前に生きていた。しかしお前は欺いた

女を隠し続けていた

亜麻色の長い髪、しなやかな腕ふくよかな尻痩せた胸

その姿態を私から隠していた。

どこに住むかは覚えている

アパート、暗い通路、狭い階段、レンヌ通り108ビス、

真鍮が鈍く光る戸を小さくこつと叩いた。

彼女は待っていた、戸を軽く開け私は身を滑らせた。

あの時の姿を見たいと焦がれるのに

喜びをもう一度確かめたいと望むのに

夢に女は現れなかった 

お前に抱かれ眠る私、夢の市場、街角、雑踏、騒音と混乱


その片隅に女を隠したのだ。

私の古い街

毎夜褥をともにしたけれど、毎夜私を裏切った街

お前は夢に悲しむ私を嫉妬したのだ。

広場、公園、あの通りに帰っても愛など再来しない

古い街、お前にはもう戻れない


蕃神伊佐美ハカミイサミ、平成24年正月10日 左は近影